産総研の地質図閲覧サービスに突如現れた謎の機能
私はよく産業総合技術研究所 地質調査総合センター(昔の地質調査所)の地質図表示システム「地質図Navi」を見ます。
自分が訪ねた街、ハイキングや登山で歩いたコース、テレビで見たどこかの山や海など、気になるところがあれば地質図を見て、どんな地質をしているのかを調べます。
地質図Navi(産業技術総合研究所)
https://gbank.gsj.jp/geonavi/
このウェブサイトはかなりすごいです。
日本列島の地質をシームレスで表示でき、日本列島の地質構造を広範囲で対比できます。
それだけでもかなりすごいことなのですが、過去に発行された5万分の1やそれ以外の縮尺の地質図をレイヤーとして表示することができたり、活断層マップや活火山マップなど様々な地質情報のレイヤーを表示できます。
このようなすごいものが無料で閲覧できるのが驚きです。
自由研究から専門的な調査まで、幅広く利用できます。
もちろんご利用の際は「ご利用について」の内容を確認し、利用条件なども守りましょう。
シームレス地質図のサービス自体は2003年から存在したそうです。
私も CD-ROM版の100万分の1地質図を見たことはありました。
2008年頃から20万分の1のシームレス地質図がウェブで無料公開されるようになったと記憶しています。
今でも20万分の1 シームレス地質図のウェブサイト自体は存在していました。
https://gbank.gsj.jp/seamless/
地質図Naviも20万分の1地質図がベースなので、お住まいの地域の大局的な地質について簡単に情報を得ることができます。
・・・そんなすごい地質図Navi に、今年2021年の4月から謎の項目が現れるようになりました。
・・・2016年頃から存在していたようです。
なぜそれまで全く気付かなかったのか・・・。情けないというべきなのか、なんというべきか。
(2021年5月1日追記)
まずは上のリンクから地質図Navi のトップに行き、「地質図Navi を表示」をクリックします。
すると通常の地質図が表示されます。
地質図の左側には、図の上に重ねて表示できるレイヤーの項目がずらりと並んでいます。
この中の「データ表示」の項目右にある「+」ボタンをクリックします。
活火山や活断層などのレイヤーが表示されます。
この中にある山の形をしたアイコン「地形」をクリックしてみます。
すると日本百名山や陰影起伏図など、地形に関連するレイヤーが表示されます。
しかし、その一番上の項目にあるのが・・・
ん?
「ニンジン探し」!?
宝探しならぬ、ニンジン探しというボタンが表示されます。
私の記憶では、2021年3月の時点では無かったような気がします。
地質図Navi、地質調査総合センターのウェブサイトのどちらを調べても、この「ニンジン探し」に関する公式の情報(いつ公開した、何の目的で公開した、など)は見当たりません。
→ 2016年6月15日の地質図Navi 公式ツイッターを発見しました。
この後のネタバレ注意です。
https://twitter.com/How_many_files/status/743015991643242496
ニンジン探しの公開目的などは、もっと古いツイートまでさかのぼらないといけないのかもしれません。
(2021年5月1日追記)
試しにクリックしてみます。
インフォメーションのアイコンをクリックすると、ニンジン探しのミッションがわかります。
”「ニンジン探し」”について
ヒントを参考にして、地質図の中に生えているニンジンを集めよう。
ニンジンは全部で7本生えてるよ。
ちなみに、このインフォメーションのアイコン、2021年4月4日にやってみたときには「ニンジン探し」をクリックすると勝手に表示され、OKボタンや ×ボタンをクリックしても消えないバグがありました。
このときはインフォメーションアイコンをクリックし直しOKボタン等をクリックすると元にもどりました。
今(2021年4月25日現在)はこのバグは解消されたようです。
難易度は割と高め
さて、画面右下に表示されているミッションを見ると、最初のニンジンはつくばの地質標本館にあるようです。
地質標本館は行ったことあるし楽勝楽勝、と思いきや・・・
つくば市を表示しているのに、ニンジンらしきものは見当たりません。
ということで拡大してみます。
地図を拡大してみました。
これでも初見ではわかりにくいです。
もっと拡大してみます。
ようやくニンジンが土の中に埋まったアイコンを見つけることができました。
ここで気づいたことは、このニンジン探しはそれなりに難易度が高いということです。
ニンジンのアイコンをクリックしてみます。
「ニンジンGET!」という表示と謎のウサギマークが表示されました。
すると右下に次のミッションが表示されます。
このような感じで7本のニンジンを見つけていくことになります。
ちなみに、地質図Naviはブラウザの Cookieで最後に地質図を見た場所を記録し次回閲覧時に表示してくれるのですが、ニンジン探しも過去に見つけたニンジンは Cookieをもとに記録してくれます。
つまりオートセーブしてくれます。
忙しい人にはありがたい機能です。
(本当に忙しければ、そもそも手を付けない人の方が多いかもしれませんね・・・。)
ニンジン探し機能が追加された理由は?
さて、画面右下のミッションに従ってニンジンを探していけばよいのですが、このニンジン探しには重要なポイントがあります。
このようなミッションが表示されるときは、必ずミッションに表示される地質図などのレイヤーを表示しなければいけません。
レイヤーを表示しないとニンジンのアイコンが現れません。
知っている場所だったとしても、必ず指示されたレイヤーを表示しなければ先には進めません。
実は私は上のミッションで「〇〇ならどこか知ってるから20万分の1地質図を表示しなくても大丈夫!」と思っていたのですが、どこをどう探してもニンジンアイコンが見つかりません。
ミッションに記載の20万分の1地質図のレイヤーを表示して、初めてニンジンが画面に現れました。
ミッションを進めていくと、今まで使ったことが無いようなレイヤーを表示することになります。
中には「こんな機能があったのか」と驚くようなものもありました。
既に書きましたように、この「ニンジン探し」に関する公式の情報はありません。
そのため、地質調査総合センターがどのような意図でこれを作ったのか真意はわかりません。
しかしなんとなく、地質図Navi に備わっている様々なレイヤー機能に親しんでもらうために追加したのかもしれないな、と推測されます。
単にGoogle が時々やるミニゲームのようなノリでサービスを始めた可能性も否めません。
でも、それにしてはミッションの内容がマニアックです。(笑)
そして、なぜニンジンなのか・・・謎は深まります。
全てのニンジンを探し出すと・・・?(ネタバレ注意)
さて、頑張って7本すべてのニンジンを探し出すと・・・
「完食!」
衝撃の一言と謎のウサギのアイコンが表示されます。
集めてたのではなくて食べてたのか・・・。
それはさておき、気になることが書いてあります。
おまけレイヤをプレゼント。
地質図Navi をリロードすると増えてるよ。
どうやらゲームクリアすると、何か特別なレイヤーを見ることができるようです。
ところが、地質図Navi をリロードしても、何のレイヤーが加わったのかパッと見ただけでは全くわかりません。
どうやらゲームはまだ続いていたようです。
以下、ネタバレになりますので自分で探してみたい方はスクロールしないでください。
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まさか8本目のニンジンを探すことになるとは思いませんでした。(笑)
「データ表示」の「地質」タブの上から 4項目目にニンジンのアイコンがありました。
これがゲームクリアの特典、おまけレイヤーのようです。
「ニンジン探し」をしていないPC では表示されなかったので、間違いないと思います。
さて、試しにクリックしてみると
おまけレイヤー「断層調査報告位置図」の説明が表示されました。
どうやら地質文献データベースで整備中のものをベータ版として表示してくれるようです。
既存の「活断層データ」に包括されているような内容にも見えますが、その活断層の位置を特定するに至った学術論文の情報にリンクがつながっています。
かなり上級者向けのおまけレイヤーです。
青い四角の枠の部分が、リンクの用意されている断層のようです。
わりと広範囲で整備が進んでいることがわかります。
公式ツイッターでも明記されているので正しいようです。
地質図Navi 公式ツイッター(2016年6月23日)
https://twitter.com/How_many_files/status/745935905953820672
「ニンジン探し」という名前から子供向けっぽくしていますが、内容は詳しい人向けのマニアックなゲームでした。
(地質図という時点で子供向けではないかもしれませんね。)
それにしても、なぜニンジンなのでしょう・・・?
開発担当者がウサギ飼っているとか?
(2021年5月1日 更新)