この記事のキャッチアップ画像は、東京・上野の国立科学博物館にある、キログラム原器のレプリカだ。
重さ、長さ、電流など、人類が決めた尺度には7つの根源的なものがある。(SI基本単位)
このSI基本単位は、科学に対する人類の理解が変わるたびに、度々変更されてきた。長さの基本単位「メートル」の定義の変遷は、一番わかりやすいかもしれない。
一方で、重さの基本単位「キログラム」は、1889年にキログラム原器が作成されてから、その定義がまったく変更されてこなかった。
しかし、このキログラム原器にも問題があるようだ。錆びにくい白金-イリジウム合金でつくられ、二重のガラス製気密容器で真空中に保管されていても、長年にわたる汚れの付着などによってごくわずかながら重さが変化してしまっているらしい。
というわけで、来年2018年からは「キログラム」の定義も変更され、キログラム原器から物理量をもとにしたものとなるようだ。
その新しい定義づけに使われるのが「ワット天秤」という天秤らしい。永久磁石と電磁石との反発力を利用して、重さをきわめて正確に量れるらしい。
そして、その「ワット天秤」普及のためなのかどうかよくわからないが、そのミニチュア版のレゴブロックでの作り方を紹介しているのが、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)のウェブサイトである。
The NIST Do-It-Yourself Watt Balance (Made with LEGO® Bricks!) (英文のみ)
https://www.nist.gov/pml/nist-do-it-yourself-watt-balance-made-lego%C2%AE-bricks
この動画、英語だけなのだが色々面白い。
まず、アメリカの国立機関なのに、動画の一番最初(上記ウェブサイトのリンク先画像も含め)に出てくるのが、どう見てもアジア系(中国人)の2人の男だからである。
どうやら研究者のようで、動画の最後に実名が公開されているが、この2人の顔芸とリアクションが面白すぎる。
それと、そんな正確な天秤をどうやっておうちで手軽にD.I.Y!できるのかと思えば、結局そのサイトで配布されているフリーソフトをパソコンにダウンロードする必要があるらしい。要は、レゴブロックよりは、そのフリーソフトの方が、どうにも重要そうである。電磁石の電流測定で重さを量るのだから、当然と言えば当然だが。
そしてなぜか、動画内でやたらと”Free!”を強調してくる。いやまぁ、確かにお金かかるなら試さないかもしれないが。
あと、動画を見ただけで簡単に組み立てられるかと思えば、どのようなレゴブロックをどのように組むかという作り方は「目で盗め」の精神のようである。
探せばどこかに詳しい設計図とか部品表とかあるのかもしれないが、動画だけではとても作れないと思う。
これがアメリカ人のジョークセンスなのだろうか。うーむ、なかなかセンスがあるじゃないか。
ワット天秤のミニチュア版自体も興味深いし、難しそうだが作ってみたいとは思う。
このサイトで公開できるといいな。
というかどうせ作るならそれなりの大きさ・重さのものも量れるようにしてみたい。