計算尺の種類と構造 【計算尺の使い方1】

slide rule/計算尺

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「計算尺の使い方」まとめ

計算尺とは?

計算尺 (Slide rule) とは、一言でいえば「対数目盛りの性質を利用した計算機」です。
そろばんと同じように電池が不要ですが、足し算と引き算ができません。その代わり、掛け算、割り算、三角関数、二乗、二乗根(ルート)、三乗、三乗根、対数(常用対数、自然対数)、指数の計算ができます。
1970年代に小型の関数電卓が登場するようになるまでは、主に技術系の職種の方々が使っていました。

このウェブサイトでは計算尺の使い方について解説したいと思います。

計算尺の種類について

計算尺には様々な種類がありました。
計算機として一般的な計算ができるようなもの、特殊な計算ができるようなもの、腕時計に実装されているもの・・・など、その用途に合わせて様々な計算尺があったようです。

ここでは、一般的な計算ができるものを紹介します。

(棒形)計算尺

一般に「計算尺」というと、この横に長い定規のような形状の計算尺のことをいいます。「棒形」という言葉を付けて「棒形計算尺」と言うことはあまりないと思います。
以下、計算尺の構造についてです。

計算尺は目盛りを使って計算する道具なので、様々な種類の目盛りが刻まれています。この目盛りは「外尺(固定尺)」と「内尺(滑尺)」に刻まれています。
このうち内尺は左右にスライドして動かすことができます。内尺を動かして外尺と内尺の目盛りをずらすことで様々な種類の計算を行うことになります。

「左基線」、「右基線」、「カーソル」を拡大してみます。

「基線」はその名前のとおり、ある目盛りの基準となる線です。「1」や「10」の数字が振られていることが多いです。基線は、目盛りの種類によっては必ずしも左右の端になく、真ん中にあることもあります。
基線は計算尺の計算結果(数値)を示してくれる部分なので重要です。

「カーソル」は内尺と同様に左右に動かすことができます。
カーソルの中心には「カーソル線」があります。このカーソル線を使って外尺と内尺の目盛りをそろえたり、基線が示した計算結果を読み取ったりと、計算尺での計算精度を保つ上では重要な役割を持ちます。

計算尺の内尺は取り外すことができます。

計算尺は裏面にも目盛りが振られているものが多いです。内尺を取り外し、裏表をひっくり返して別の目盛りを使うことで計算が円滑になることがあります。

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円形計算尺

文字通り、円形の計算尺です。
最近では、文房具店で比較的安く売っているのはこのタイプの計算尺です。
形は違いますが、基本的な機能は棒形の計算尺と同じです。以下、円形計算尺の構造についてです。

円形計算尺も「外尺(固定尺)」と「内尺(滑尺)」に様々な種類の目盛りが振られており、内尺を回転させて動かすことができます。当然ですが「カーソル」も回転させることができます。
円形計算尺の場合、その構造上「基線」は左右に分かれることはなく、円板上の一点にだけ存在します。だからといってその機能は全く変わりありません。基線が計算結果(数値)を示すことになります。
ただし、構造上内尺を取り外すことはできないので、裏表で内尺の目盛りを交換するということはできません。その分、計算の手間が増えることはあるかもしれませんが、計算ができないわけではありません。

基本的にどちらの形でも同じ「計算尺」なので、計算機能は変わりません。強いて挙げるのであれば、棒形計算尺と比べて以下のような長所と短所が考えられます。

  • 円形計算尺の長所
    棒形計算尺と比べてコンパクトで持ち運びやすい
    「目外れ」(基線が目盛りから外れて計算結果が示されないこと)しないので初心者には計算しやすい
  • 円形計算尺の短所
    表と裏の内側の円盤を直接交換できないので計算の手間がかかることがある
    円盤の内側の目盛りほど目盛りの間隔が狭く計算精度が悪くなる

何度も書きますが、一般的な棒形の計算尺と、円形計算尺とでは計算機能に大きな差はありません。どちらだから計算ができる、できない、といったことはありません。「円形計算尺の長所」に書いた「目外れ」についても、棒形の計算尺には目外れした場合にも計算結果が出るような工夫がされているので問題にはなりません。
むしろ計算できる、できないは、次に解説する「目盛りの種類」の方が影響してきます。

計算尺に関する記事一覧

当サイトで紹介している計算尺の使い方に関する記事一覧は、カテゴリーの「計算尺 / Slide rule」のほか「計算尺の使い方」まとめページでご覧いただけます。

(2020年2月5日 更新)
(2020年8月20日 一部修正)

 

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