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常用対数の真数は対数計算の逆操作で求める
常用対数の計算方法については「常用対数 log_10 の計算」で紹介しました。
ここまでの計算尺の使用方法解説で計算尺の操作に慣れてきた方の中には、常用対数の計算で用いた方法を逆に操作すれば、数値が既知の常用対数の真数を求めることができるのではないかとお気づきになる方もいらっしゃると思います。
今回は常用対数の真数の計算方法、つまり \( \log_{10}{x} = a \) というような式で、 \( a\) の値がわかっている場合の \( x\) の値の求め方について紹介します。
計算では「L 尺」を使います。
L 尺については「常用対数 log_10 の計算」で解説しています。
一般的な計算尺では外尺(D 尺に並ぶ位置)に L 尺があることが多いですが、当サイト管理人の手元にあるコンサイス円計算尺では内尺(C 尺に並ぶ位置)にL 尺がありました。
そのため、このウェブサイトでは一般的な計算尺では L 尺と D 尺を組み合わせ、円計算尺では L 尺と C 尺を組み合わせて計算することを基本にします。
10 の指数計算と同じ
お気づきの方もいると思いますが、これはつまり10 の指数の計算でもあります。常用対数と10 の指数との間には、次式のような関係があるためです。
$$ \log_{10}{x} = a \Leftrightarrow x = 10^a $$
計算例1 \( \log_{10}{x} = 0.39 \)
\( x\) の値を求めます。この計算は\( 10^{0.39} \) の計算と同じです。
(1)はじめに計算したい数を整数部分と0 以上1 未満の小数部分に分けます。
この計算では 0.39 が0 以上1 未満の小数なので、そのまま計算をします。
(2)L 尺の「0.39」にカーソル線を合わせます。
(3)そのままD 尺(円計算尺では C 尺)の目盛りを読み、答が「2.456」であるとわかります。
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計算例2 \( \log_{10}{x} = 2.48 \)
\( x\) の値を求めます。この計算は\( 10^{2.48} \) の計算と同じです。
(1)はじめに計算したい数を整数部分と0 以上1 未満の小数部分に分けます。
2.48 の場合、\( 2.48 = 2 + 0.48\) となります。計算尺では 0.48 の部分を計算します。
(2)L 尺の「0.48」にカーソル線を合わせます。
(3)そのままD 尺(円計算尺では C 尺)の目盛りを読み、答の有効数字部分が「3.02」であるとわかります。
(4)位取りをします。
(3)の計算によって \( 0.48 = \log_{10}{3.02} \) であることがわかりました。また、整数部分の2 を常用対数で表すと \( 2 = \log_{10}{10^2} = \log_{10}{100}\) となります。したがって、
\(2 + 0.48 = \log_{10}{100}+ \log_{10}{3.02} \)
\( = \log_{10}{(100 \times 3.02)} = \log_{10}{302} \)
となることがわかります。
以上より、この計算の答は「302」です。
計算例3 \( \log_{10}{x} = -1.33 \)
\( x\) の値を求めます。この計算は\( 10^{-1.33} \) の計算と同じです。
(1)はじめに計算したい数を整数部分と0 以上1 未満の小数部分に分けます。
-1.33 の場合、\( -1.33 = -2 + 0.67\) となります。小数部分を0 以上1 未満とすることに気を付けましょう。計算尺では 0.67 の部分を計算します。
(2)L 尺の「0.67」にカーソル線を合わせます。
(3)そのままD 尺(円計算尺では C 尺)の目盛りを読み、答の有効数字部分が「4.678」であるとわかります。
(4)位取りをします。
(3)の計算によって \( 0.67 = \log_{10}{4.678} \) であることがわかりました。また、整数部分の-2 を常用対数で表すと \( -2 = \log_{10}{10^{-2}} = \log_{10}{0.01}\) となります。したがって、
\(-2 + 0.67 = \log_{10}{0.01}+\log_{10}{4.678} \)
\( = \log_{10}{(0.01 \times 4.678)} = \log_{10}{0.04678} \)
となることがわかります。
以上より、この計算の答は「0.04678」です。
計算尺に関する記事一覧
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