常用対数 log_10 の計算【計算尺の使い方30】


「計算尺の使い方」まとめ

対数計算の基本は常用対数

計算尺では対数の計算もできます。
後で紹介するように、計算尺ではどのような対数でも計算することができますが、その基本は常用対数、つまり \( \log_{10}{x} \) の計算となります。

対数計算で使う目盛り

対数の計算では「L 尺」を使います。
L 尺は 0 から 1 までの目盛りです。目盛りの刻みは一般的な定規と同じで、0.1、0.2・・・などの目盛りは10 等分されています。

そもそも計算尺は、基本的な計算に用いるC 尺や D 尺といった目盛りが対数目盛で振られています。対数目盛である C 尺や D 尺に対しして L 尺は等分した目盛りが振られているので、常用対数の計算ができることになります。

一般的な計算尺では外尺(D 尺に並ぶ位置)に L 尺があることが多いですが、当サイト管理人の手元にあるコンサイス円計算尺では内尺(C 尺に並ぶ位置)にL 尺がありました。
そのため、このウェブサイトでは一般的な計算尺では L 尺と D 尺を組み合わせ、円計算尺では L 尺と C 尺を組み合わせて計算することを基本にします。

常用対数計算の特徴と整数部分の決定方法

計算尺で常用対数を計算する場合、計算できるのは有効数字の部分だけです。そしてその結果は必ず 0 から 1 の間、つまり小数点以下の部分だけが得られます。
つまり \( \log_{10}{1.23} \) 、\( \log_{10}{12.3} = \log_{10}{(1.23 \times 10)}\) 、\( \log_{10}{123} = \log_{10}{(1.23 \times 10^2)}\) の3つの計算はいずれも有効数字が「1.23」なので、計算尺で計算した場合同じ答えが出てきます。
そのため、対数に関する次の公式を使って計算結果の整数部分を自分で求める必要があります。

\( \log_{a}{(b \times c)} = \log_{a}{b} + \log_{a}{c}\)

したがって、\( \log_{10}{12.3} \) と\( \log_{10}{123}\) の場合それぞれ

\( \log_{10}{12.3} = \log_{10}{(1.23 \times 10)}\)\(= \log_{10}{1.23} + \log_{10}{10}\)\(= \log_{10}{1.23} + 1\)
\( \log_{10}{123} = \log_{10}{(1.23 \times 10^2)}\)\(= \log_{10}{1.23} + \log_{10}{10^2}\)\(= \log_{10}{1.23} + 2\)

と計算し、それぞれ整数が 1 および 2 となることがわかります。
\( \log_{10}{1.23} \) の部分を計算尺で計算することになります。

1よりも小さい数の常用対数を計算する場合、引き算をすることになるので注意が必要です。
具体的には以下の計算例3をご覧ください。

計算例1 \( \log_{10}{1.23} \)

(1)D 尺(円計算尺では C 尺)の「1.23」にカーソル線を合わせます。

(2)そのまま L 尺の目盛りを読み取り、答として「0.0899」を得ます。

※1 以上 10 未満の常用対数の答の整数部分は「0」です。
\( \log_{10}{1.23} = \log_{10}{(1.23 \times 10^0)}\)\(= \log_{10}{1.23} + \log_{10}{10^0}\)\(= 0.0899 + 0\) となるためです。

計算例2 \( \log_{10}{724} \)

(1)はじめに計算したい数を有効数字と10 の指数表記になおします。
\( \log_{10}{724} = \log_{10}{(7.24 \times 10^2)}\)\(= \log_{10}{7.24} + \log_{10}{10^2}\) となることから、計算尺では\(\log_{10}{7.24} \) を計算します。

(2)D 尺(円計算尺では C 尺)の「7.24」にカーソル線を合わせます。

(3)そのまま L 尺の目盛りを読み取り、答の小数点部分として「0.8596」を得ます。

(4)整数部分を計算します。
(1)のとおり、\( \log_{10}{724}\)\(= \log_{10}{7.24} + \log_{10}{10^2}\) でした。\( \log_{10}{10^2} = 2 \) なので、(3)の結果と合わせて\(\log_{10}{7.24} + \log_{10}{10^2}\)\( = 0.8596 + 2 = 2.8596\) となります。よって、答は「2.8596」です。

計算例3 \( \log_{10}{0.0058} \)

(1)はじめに計算したい数を有効数字と10 の指数表記になおします。
\( \log_{10}{0.0058} = \log_{10}{(5.8 \times 10^{-3})}\)\(= \log_{10}{5.8} + \log_{10}{10^{-3}}\) となることから、計算尺では\(\log_{10}{5.8} \) を計算します。

(2)D 尺(円計算尺では C 尺)の「5.8」にカーソル線を合わせます。

(3)そのまま L 尺の目盛りを読み取り、答の小数点部分として「0.7635」を得ます。

(4)整数部分を計算します。
(1)のとおり、\( \log_{10}{0.0058}\)\(= \log_{10}{5.8} + \log_{10}{10^{-3}}\) でした。\( \log_{10}{10^{-3}} = -3 \) なので、(3)の結果と合わせて\(\log_{10}{5.8} + \log_{10}{10^{-3}}\)\( = 0.7635 – 3 = -2.2365\) となります。よって、答は「-2.2365」です。

計算尺に関する記事一覧

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