ちょっと古い(6日前の)ニュースだけれど、BBCニュースにおもしろい記事があったので紹介します。
New map of Universe’s dark matter — BBC News(英語のみ)
http://www.bbc.com/news/health-40817897
簡単に記事の内容を紹介してみます。誤訳などあるかもしれませんので、しっかり内容を知りたい方は上記リンク先を読むことをお勧めします。
記事によると、宇宙に存在する物質のなんと96%が「ダークマター」という、可視光や電波望遠鏡などで観測できない物質から成り立っているそうです。
これ自体は、実はそんなに不思議なことではありません。宇宙では恒星やある種の星間ガスのように自身が光るか(電磁波を放つか)、そのような天体の近くでその光を受けているものしか観測されません。光や電波を放たない物質は、地球からは直接観測できません。
ではなぜ「ダークマター」の存在に人類は気が付いたのか?
1998年、非常に遠い銀河等の観測をした結果、宇宙の膨張が加速していることがわかったそうです。しかし、その当時観測されていた天体から予測した宇宙の未来像は、膨張ではなく収縮だったそうです。このつじつまを合わせるには、観測できない物質が宇宙空間にかなり分布していると考えなければならなかったそうです。これによって、ダークマターの存在が予言されました。
この研究では何をしたかというと、地球から観測される2600万個の銀河を観測し、その銀河の光量の減少率を測定することで、その銀河と地球との間にあるダークマターの存在量を推定したそうです。
なるほど、確かに銀河は極端に大きかったり小さかったりしたものはなく、ある程度似たような大きさをしています。なので、一つの銀河の光量は一定と考えられます。銀河の距離は、銀河から届く光の波長のドップラー効果などから測定できるので、銀河の距離と光量との関係から、地球とある銀河との間にあるダークマターの量が推測できます。
さらにこの研究では、ある同じ銀河の光量の変化を、時間をおいて観測することで、ダークマターの動きについても推測したそうです。
その結果求められたダークマターの分布図が、上記リンク先に掲載されています。
なるほど、文字に書き起こすと大したことはないのですが、これを観測できるようになるのに、銀河のわずかな光量の変化を観測できるような高精度の観測機器(記事曰く、570メガピクセル=5億7千万ピクセルのカメラ)の開発が必須だったわけで、研究者の血と汗と涙が垣間見えます。
こういうニュースを日本語でももっと紹介してほしいです。日本のメディアはもっと頑張ってほしいです。