連続した掛け算・割り算の計算方法 【計算尺の使い方8】


「計算尺の使い方」まとめ

内尺法と標線法を組み合わせて誤差を減らす

計算尺は目盛りを使って計算する道具です。そのため、目盛りを読み取るときに読み取り誤差がどうしても生じてしまいます。

これに加えて、計算尺では内尺を動かすことによる誤差が生じます。
内尺を目的の数値同士でぴったり合わせたつもりでも、そこにはわずかな誤差が生じています。そのため、計算尺で連続した計算を行う際に内尺を動かせば動かすほど、その誤差は大きくなってしまいます。

内尺を動かすことによる誤差は、内尺を動かす回数を減らすことで小さくすることができます。
ここでは、これまでの掛け算と割り算のやり方で紹介した内尺法と標線法を組み合わせることで、内尺の操作を最小限に抑えた計算方法を紹介します。

連続した掛け算の計算例

例として、3つの数の掛け算  \( 18 \times 4.6 \times \pi \) の計算をしてみましょう。
ポイントは、はじめに内尺法で掛け算をして、内尺を動かさないでそのまま標線法の掛け算に移る点です。

(1)はじめに18 → \(1.8 \times 10\) として、D 尺の「1.8」にカーソル線を合わせます。

(2)次に内尺法で掛け算を行います。CI 尺の「4.6」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)ここで、CI 尺の基線「1」はD 尺上に \( 18 \times 4.6 \) の答を示しています。ここで、CI 尺の基線「1」とC 尺の基線「10」が一致しているので、続けてC 尺を使って標線法で掛け算をします。内尺は動かしません。

(4)C 尺の「\(  \pi \)」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「2.60」が示されます。C 尺に「\(  \pi \)」がない計算尺をお使いの方は「3.142」くらいにカーソル線を合わせます。

(5)位取りをします。
概算で、18 → 20、4.6 → 5、\(  \pi \) → 3 として、 \( 20 \times 5 \times 3 = 300 \) となります。
計算尺上の数値の答は「2.60」だったので、この計算の答は「260」となります。

このように、内尺法と標線法を組み合わせて計算することで、内尺を動かすことによって生じる誤差を減らすことができます。
上の計算例の(3)の画像では、説明のため一度CI 尺とC 尺の基線にカーソル線を合わせていますが、計算に慣れたらこの手順は必要ありません。いきなり(4)の画像のようにC 尺の「\(  \pi \)」にカーソル線を合わせて計算結果を得ましょう。

また、多くの計算尺にはC 尺とD 尺に円周率「\(  \pi \)」の目盛りが振られています。科学計算では円周率を使うことも多いと思いますので、活用しましょう。

掛け算と割り算の組み合わせ

次の例として、 \( \Large \frac{8.8 \times 3.6}{5.9} \) の計算をしてみましょう。

この計算を手計算で行うときは、はじめに 8.8 × 3.6 を計算して、その結果を 5.9 で割るという手順をとる方が多いと思います。
計算尺の計算では、次のような手順をとりましょう。
つまり、8.8 ÷ 5.9 の計算をして、その計算結果に 3.6 を掛けます。
このように計算することで、内尺法と標線法を組み合わせた効率の良い計算ができます

それでは、実際の計算手順を紹介します。

(1)はじめにD 尺の「8.8」にカーソル線を合わせます。

(2)次に内尺法で割り算を行います。C 尺の「5.9」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)ここで、C 尺の基線「1」はD 尺に \( 8.8 \div 5.9 \) の答を示しています。\( 8.8 \div 5.9 \) の答とC 尺の基線「1」が合っているので、そのままC 尺を使って標線法で掛け算を続けます。内尺は動かしません。

(4)C 尺の「3.6」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「5.37」が示されます。

(5)位取りをします。
概算で、8.8 → 10、3.6 → 5、5.9 → 5 として、 \( 10 \times 5 \div 5 = 10 \) となります。
計算尺上の数値の答は「5.37」だったので、この計算の答は「5.37」となります。

上の計算例の(3)の画像では、説明のため一度C 尺の基線にカーソル線を合わせていますが、計算に慣れたらこの手順は必要ありません。いきなり(4)の画像のようにC 尺の「3.6」にカーソル線を合わせて計算しましょう。

4つ以上の数の掛け算と割り算の組み合わせ

さらに、4つ以上の数の掛け算と割り算の組み合わせを計算してみましょう。
4つ以上の掛け算・割り算では内尺を複数回動かすことになります。ここでも内尺法と標線法をうまく組み合わせて、内尺を動かす回数が少なくなるように計算しましょう。

例として、 \( \Large \frac{1.296 \times 40.1}{2.33 \times 0.183 \times 0.1608} \) の計算をしてみましょう。次のような順番で計算します。

基本的には分子 → 分母 → 分子 → 分母 →・・・という流れで計算すると覚えておきましょう。

(1)はじめにD 尺の「1.296」にカーソル線を合わせます。

(2)次に内尺法で割り算を行います。C 尺の「2.33」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)ここで、C 尺の基線「10」はD 尺上に \( 1.296 \div 2.33 \) の答を示しています。\( 1.296 \div 2.33 \) の答とC 尺の基線「10」が合っているので、そのままC 尺を使って標線法で掛け算を続けます。内尺は動かしません。

(4)40.1 → \(4.01 \times 10\) として、C 尺の「4.01」にカーソル線を合わせます。この時カーソル線はD 尺上にこれまでの2 回の計算(①と②)の答を示します。

(5)これまでの計算の答 ÷ 0.183 の計算を内尺法で計算します。0.183 → \(1.83 \times 10^{-1}\) として、C 尺の「1.83」とカーソル線が合うように内尺を動かします。この時カーソルは絶対に動かさないようにしましょう。

(6)C 尺の基線「1」はD 尺上にこれまでの3 回の計算(①、②、③)の答を示しています。ここで、C 尺の基線「1」とCI 尺の基線「10」が一致しているので、続けてCI 尺を使って標線法で割り算をします。内尺は動かしません。

(7)0.1608 → \(1.608 \times 10^{-1}\) として、CI 尺の「1.608」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「7.58」が示されます。

(8)位取りをします。
概算でこの計算をしてみると
$$ \frac{1.296 \times 40.1}{2.33 \times 0.183 \times 0.1608}  →  \frac{1 \times 40}{2 \times 0.2 \times 0.2} $$
$$ = \frac{40}{0.08} = \frac{5}{0.01}  = 500 $$

となります。計算尺上の数値の答は「7.58」だったので、この計算の答は「758」となります。
この計算を電卓で計算してみると答は 757.977・・・ となりますので、かなり精度よく計算できました。

上の計算例の(3)と(6)の画像では、説明のためにカーソル線を動かしていますが、慣れてしまえばその必要はありません。いきなり(4)、(7)の手順に移っても問題ありません。

目外れが起きた時は内尺を動かして計算する

以上で説明したように、計算尺では2 回の計算(3 つの数の掛け算と割り算の組み合わせ)は内尺法と標線法を組み合わせてすぐに計算ができます。

3 回以上の計算では、内尺を2 回以上動かすことになります。
上で紹介した例では4 回の計算(5 つの数の掛け算・割り算)を2 回だけの内尺操作で計算できましたが、計算によっては目外れが起きてうまくいかないこともあります。

目外れが起きた時は「F」の付くCF 尺、CIF 尺、DF 尺を使って計算を続けることができますが、場合によっては「F」の付く尺も目外れしてしまうことがあります。そのような時は内尺法を使って、つまり内尺を動かして計算を続けましょう。

円形計算尺では目外れが起きないので、この心配はありません。

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