比例と反比例の計算 【計算尺の使い方9】

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「計算尺の使い方」まとめ

標線法による比例・反比例の計算

「『目外れ』する場合の掛け算のやり方」の最後の方に、同じ数に対して異なる数値を掛ける計算を同時にたくさん行いたい場合は標線法が便利だということを書きました。これは掛け算に限らず、割り算でも同じです。
この標線法による計算の特徴を生かして、比例と反比例の関係にあるものの計算を簡単に行うことができます。

比例の計算例

比例計算の具体例として、アメリカ合衆国や英国で使用されている距離の単位マイル(1 マイル = 1.609344 km)を換算してみましょう。

1 マイルを 1.609 km として、次の表を埋めてみます。

距離 マイル 距離 km
0.3
1 1.609
4.5
17
88

(1)比例の計算は、標線法を使った掛け算の要領で行います。使う目盛りは外尺の「D 尺」と内尺の「C 尺」です。

(2)D 尺の「1.609」にカーソル線を合わせます。

(3)C 尺の基線である「1」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(4)ここからは、C 尺の目盛りをマイル、D 尺の目盛りを km として一つずつ計算を行います。
位取りは概算で行うと楽です。1.609 → 2 として概算します。

(a) 0.3 マイルは C 尺の「3」にカーソル線を合わせます。カーソル線がD 尺上に答の「4.82」を示します。
概算で位取りを行います。2 × 0.3 = 0.6 なのでこの計算の答は「0.482」km だとわかります。

(b) 4.5 マイルは C 尺の「4.5」にカーソル線を合わせます。カーソル線がD 尺上に答の「7.24」を示します。
概算で位取りを行います。4.5 → 5 として、2 × 5 = 10 なのでこの計算の答は「7.24」km だとわかります。

(c) 17 マイルは C 尺の「1.7」にカーソル線を合わせます。カーソル線がD 尺上に答の「2.735」を示します。
概算で位取りを行います。17 → 20 として、2 × 20 = 40 なのでこの計算の答は「27.35」km だとわかります。

(d) 88 マイルは C 尺の「8.8」にカーソル線を合わせます。円形計算尺では、カーソル線がD 尺上に答の「1.417」を示します。
一般的な計算尺では目外れしてしまうので、CF 尺の「8.8」にカーソル線を合わせ、DF 尺上に答の「1.417」が得られます。
概算で位取りを行います。88 → 100 として、2 × 100 = 200 なのでこの計算の答は「141.7」km だとわかります。

以上の (a) から (d) の計算結果をまとめると以下のとおりです。

距離 マイル 距離 km
0.3 0.482
1 1.609
4.5 7.24
17 27.35
88 141.7

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反比例の計算例

反比例計算の具体例として、同じ面積の長方形の縦の長さと横の長さの関係を計算してみましょう。

面積が 178 平方メートルの長方形の、縦の長さに対する横の長さとして、次の表を埋めてみます。

縦 m 横 m
0.667
1 178
9.26
38.3
148

(1)反比例の計算は、標線法を使った割り算の要領で行います。使う目盛りは外尺の「D 尺」と内尺の「CI 尺」です。

(2)D 尺の「1.78」にカーソル線を合わせます。

(3)CI 尺の基線である「10」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(4)ここからは、CI 尺の目盛りを縦の長さ、D 尺の目盛りを横の長さとして一つずつ計算を行います。
位取りは概算で行うと楽です。ここでは 178 → 200 として概算します。

(a) 縦の長さ 0.667 m の場合、CI 尺の「6.67」にカーソル線を合わせます。カーソル線がD 尺上に答の「2.667」を示します。
概算で位取りを行います。0.667 → 1 として、200 ÷ 1 = 200 なのでこの計算の答は横の長さ「266.7」m だとわかります。

(b) 縦の長さ 9.26 m の場合、CI 尺の「9.26」にカーソル線を合わせます。カーソル線がD 尺上に答の「1.922」を示します。
概算で位取りを行います。9.26 → 10 として、200 ÷ 10 = 20 なのでこの計算の答は横の長さ「19.22」m だとわかります。

(c) 縦の長さ 38.3 m の場合、CI 尺の「3.83」にカーソル線を合わせます。カーソル線がD 尺上に答の「4.645」を示します。
概算で位取りを行います。38.3 → 40 として、200 ÷ 40 = 5 なのでこの計算の答は横の長さ「4.645」m だとわかります。

(d) 縦の長さ 148 m の場合、CI 尺の「1.48」にカーソル線を合わせます。円形計算尺では、カーソル線がD 尺上に答の「1.202」を示します。
一般的な計算尺では目外れしてしまうので、CF 尺の「1.48」にカーソル線を合わせ、DF 尺上に答の「1.202」が得られます。
概算で位取りを行います。148 → 100 として、200 ÷ 100 = 2 なのでこの計算の答は横の長さ「1.202」m だとわかります。

計算結果をまとめると以下のとおりです。

縦 m 横 m
0.667 266.7
1 178
9.26 19.22
38.3 4.645
148 1.202

 

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