二乗・二乗根を含む比例と反比例 【計算尺の使い方15】

「計算尺の使い方」まとめ

標線法を応用した二乗・二乗根の比例と反比例計算

「比例と反比例の計算」でも紹介したとおり、特定の数値に対して様々な値を掛けたり割ったりする時には、標線法による計算がとても便利です。これは普通の掛け算・割り算による比例・反比例計算に限らず、二乗や二乗根の関係にある比例と反比例計算についても同じです。

比例の計算ではD 尺と C 尺、反比例の計算ではD 尺とCI 尺を使いました。二乗・二乗根の場合はC 尺とA 尺CI 尺とA 尺が対応関係になります。
以下では、二乗または二乗根の関係にある比例と反比例の計算方法を紹介します。

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二乗の比例の計算例

\( a \propto b^2 \) の関係にある次の表中の\(x\)、\(y\)、\(z\) を求めてみましょう。

\( a \) \( b^2 \)
\( 13 \) \( 4^2 \)
\( x\) \( 5^2 \)
\( 58 \) \( y^2\)
\( z\) \( 15^2 \)

(1)\( 13 : 4^2 = (\sqrt{13})^2 : (4)^2 \) と考え、C 尺とA 尺が\( \sqrt{13} : 4 \) の関係を示すようにします。
\( \sqrt{13} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_2\) 尺の「13」にカーソル線を合わせます。

(2)C 尺の「4」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)(2)までの操作で、A 尺とC 尺の目盛りが\( (\sqrt{13})^2 : (4)^2 = 13 : 4^2 \) に対応するようになりました。あとは個別に計算を行います。
位取りは概算で行いますが、少しややこしいので計算に気を付けましょう。

(x) \( x : 5^2 \) の \( x \) を求める場合、C 尺の「5」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「20.3」を示します。

位取りは、\( 13 : 4^2 = x : 5^2 \) より \( x = \frac{13 \times 5^2}{4^2} \) として概算を行います。 \( \frac{13 \times 5^2}{4^2} → \frac{13 \times 5^2}{5^2} = 13\) なので、 \( x \) は13 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「20.3」だったので、\( x  = 20.3 \) です。

(y) \( 58 : y^2 \) の \( y \) を求める場合、A 尺の「58」にカーソル線を合わせます。カーソル線がC 尺上に答の「8.44」を示します。

位取りは、\( 13 : 4^2 = 58 : y^2 \) より \(  y^2 = \frac{4^2 \times 58}{13} \) \(  → y = \sqrt{ \frac{4^2 \times 58}{13} } \) として概算を行います。 \( y^2 = \frac{4^2 \times 58}{13} → \frac{16 \times 50}{10} = 80\) なので、\( y \) は \( \sqrt{80} \) 前後の値になると予想されます。「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で、\( \sqrt{80} \) は 1の位の数となることがわかります。
計算尺の計算結果は「8.44」だったので、\( y  = 8.44 \) です。

(z) \( z : 15^2 \) の \( z \) を求める場合、C 尺の「1.5」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「1.827」を示します。

位取りは、\( 13 : 4^2 = z : 15^2 \) より \( z = \frac{13 \times 15^2}{4^2} \) として概算を行います。 \(\frac{13 \times 15^2}{4^2} → \frac{15 \times 15^2}{5^2} \) \( = 15 \times 3^2 →15 \times 10 = 150\) なので、 \( z \) は150 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「1.827」だったので、\( z  = 182.7 \) です。

(x)、 (y)、 (z) の計算結果をまとめると以下のとおりです。

\( a \) \( b^2 \)
\( 13 \) \( 4^2 \)
\( 20.3\) \( 5^2 \)
\( 58 \) \( 8.44^2\)
\( 182.7\) \( 15^2 \)

時々、目外れが起きてしまうことがありますが、その場合はCF 尺とA 尺を読むことで計算可能な場合があります。これについては、以下の「二乗根の比例の計算例」で紹介しています。
CF 尺も目外れしてしまう場合は、C 尺の基線の置き換え(C 尺の基線「1」と「10」を置き換えるように内尺を動かす)で対応します。

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二乗根の比例の計算例

\( \sqrt{a} \propto b \) の関係にある次の表中の\(x\)、\(y\)、\(z\) を求めてみましょう。

\(\sqrt{a}\) \( b \)
\(\sqrt{2.1}\) \( 35 \)
\(\sqrt{x}\) \( 51 \)
\(\sqrt{11}\) \( y\)
\(\sqrt{z}\) \( 150 \)

(1)C 尺とA 尺が \( \sqrt{2.1} : 35 \) の関係を示すようにします。
\( \sqrt{2.1} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「2.1」にカーソル線を合わせます。

(2)C 尺の「3.5」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)(2)までの操作で、A 尺とC 尺の目盛りが\( \sqrt{2.1} : 35 \) に対応するようになりました。あとは個別に計算を行います。
位取りは概算で行いますが、少しややこしいので計算に気を付けましょう。

(x) \( \sqrt{x} : 51 \) の \( x \) を求める場合、C 尺の「5.1」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「4.46」を示します。

位取りは、\( \sqrt{2.1} : 35 = \sqrt{x} : 51 \) より \( \sqrt{x} = \frac{\sqrt{2.1} \times 51}{35} \) \(→ x = \frac{ 2.1 \times 51^2}{35^2}\) として概算を行います。 \( \frac{ 2.1 \times 51^2}{35^2} → \frac{ 2 \times 50^2}{30^2} \) \( = \frac{ 2 \times 25}{9} →  \frac{ 2 \times 25}{10} =5\) なので、 \( x \) は5 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「4.46」だったので、\( x  = 4.46 \) です。

(y) \( \sqrt{11} : y \) の \( y \) を求める場合、A 尺の「11」にカーソル線を合わせます。カーソル線がC 尺上に答の「8.01」を示します。

位取りは、\( \sqrt{2.1} : 35 = \sqrt{11} : y \) より \(  y = \frac{35 \times \sqrt{11}}{\sqrt{2.1}} \) として概算を行います。 \( y = \frac{35 \times \sqrt{11}}{\sqrt{2.1}} = 35 \times \sqrt{ \frac{11}{2.1}} \) \( → 35 \times \sqrt{5} → 35 \times 2 = 70\) なので、\( y \) は \( 70 \) 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「8.01」だったので、\( y  = 80.1 \) です。

(z) \( \sqrt{z} : 150 \) の \( z \) を求める場合、C 尺の「1.5」にカーソル線を合わせます。
円計算尺の場合、カーソル線がA 尺上に答の「38.5」を示します。
一般的な計算尺の場合、目外れを起こしてしまうのでCF 尺の「1.5」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「3.85」を示します。

位取りは、\( \sqrt{2.1} : 35 = \sqrt{z} : 150 \) より \( \sqrt{z} = \frac{\sqrt{2.1} \times 150}{35} \) \(→ z = \frac{ 2.1 \times 150^2}{35^2}\) として概算を行います。 \( \frac{ 2.1 \times 150^2}{35^2} → \frac{ 2 \times 150^2}{30^2} \) \( = 2 \times 5^2 =50\) なので、 \( x \) は50 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「38.5」または「3.85」だったので、\( z  = 38.5 \) です。

(x)、 (y)、 (z) の計算結果をまとめると以下のとおりです。

\(\sqrt{a}\) \( b \)
\(\sqrt{2.1}\) \( 35 \)
\(\sqrt{4.46}\) \( 51 \)
\(\sqrt{11}\) \( 80.1\)
\(\sqrt{38.5}\) \( 150 \)

目外れが起きてしまったときは、(z) の例のようにCF 尺とA 尺を読むことで計算可能な場合があります。
CF 尺も目外れしてしまう場合は、C 尺の基線の置き換え(C 尺の基線「1」と「10」を置き換えるように内尺を動かす)で対応します。

二乗の反比例の計算例

\( \Large a \propto \frac{1}{b^2} \) の関係にある次の表中の\(x\)、\(y\)、\(z\) を求めてみましょう。

\( a \) \( 1 / b^2 \)
\( 50 \) \( 1 / 11^2 \)
\( x\) \( 1 / 18^2 \)
\( 120 \) \( 1 / y^2\)
\( z\) \( 1 / 36^2 \)

(1)\( 50 : \frac{1}{11^2} = (\sqrt{50})^2 : ( \frac{1}{11})^2 \) と考え、CI 尺とA 尺が\( \sqrt{50} : \frac{1}{11} \) の関係を示すようにします。
\( \sqrt{50} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_2\) 尺の「50」にカーソル線を合わせます。

(2)11 → 1.1 として、CI 尺の「1.1」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)(2)までの操作で、A 尺とCI 尺の目盛りが\( 50 : \frac{1}{11^2} = (\sqrt{50})^2 : ( \frac{1}{11})^2 \) に対応するようになりました。あとは個別に計算を行います。
位取りは概算で行いますが、少しややこしいので計算に気を付けましょう。

(x) \( x : 1 / 18^2 \) の \( x \) を求める場合、CI 尺の「1.8」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「18.66」を示します。

位取りは、\( 50 \times 11^2 = x \times 18^2 ) \) より \( x = 50 \times ( \frac{11}{18} )^2 \) として概算を行います。 \( 50 \times ( \frac{11}{18} )^2 → 50 \times ( \frac{10}{20} )^2 = 50 \div 4 = 12.5\) なので、 \( x \) は12.5 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「18.66」だったので、\( x  = 18.66 \) です。

(y) \( 120 : 1 / y^2 \) の \( y \) を求めます。「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で、 \( \sqrt{120} \)  の計算では \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10までの範囲)を使うことがわかります。そのため、A 尺の「1.20」にカーソル線を合わせます。カーソル線がCI 尺上に答の「7.10」を示します。

位取りは、\( 50 \times 11^2 = 120 \times y^2 \) より \(  y^2 = \frac{50 \times 11^2}{120} \) \(  → y = \sqrt{ \frac{50 \times 11^2}{120} } \) として概算を行います。 \( y^2 = \frac{50 \times 11^2}{120} → \frac{50}{100} \times 10^2 = 50\) なので、\( y \) は \( \sqrt{50} \) 前後の値になると予想されます。「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で、\( \sqrt{50} \) は 1の位の数となることがわかります。
計算尺の計算結果は「7.10」だったので、\( y  = 7.10 \) です。

(z) \( z : 1 / 36^2 \) の \( z \) を求める場合、CI 尺の「3.6」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「4.67」を示します。

位取りは、\( 50 \times 11^2 = z \times 36^2 ) \) より \( z = 50 \times ( \frac{11}{36} )^2 \) として概算を行います。 \( 50 \times ( \frac{11}{36} )^2 → 50 \times ( \frac{12}{36} )^2 = 50 \div 9\) \( → 50 \div 10 = 5\) なので、 \( z \) は 5 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「4.67」だったので、\( z  = 4.67 \) です。

(x)、 (y)、 (z) の計算結果をまとめると以下のとおりです。

\( a \) \( 1 / b^2 \)
\( 50 \) \( 1 / 11^2 \)
\( 18.66\) \( 1 / 18^2 \)
\( 120 \) \(1/7.10^2\)
\( 4.67\) \( 1 / 36^2 \)

時々、目外れが起きてしまうことがありますが、その場合はCIF 尺とA 尺を読むことで計算可能な場合があります。これについては、次の「二乗根の反比例の計算例」で計算方法を紹介しています。
CIF 尺も目外れしてしまう場合は、CI 尺の基線の置き換え(CI 尺の基線「1」と「10」を置き換えるように内尺を動かす)で対応します。

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二乗根の反比例の計算例

最後に \( \Large \sqrt{a} \propto \frac{1}{b} \) の関係にある次の表中の\(x\)、\(y\)、\(z\) を求めてみましょう。

\(\sqrt{a}\) \( 1 / b \)
\(\sqrt{4.5}\) \( 1 / 78 \)
\(\sqrt{7}\) \( 1 / x \)
\(\sqrt{y}\) \( 1 / 120\)
\(\sqrt{15.4}\) \( 1 / z \)

(1)CI 尺とA 尺が \( \sqrt{4.5} : 1 / 78 \) の関係を示すようにします。
\( \sqrt{4.5} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「4.5」にカーソル線を合わせます。

(2)78 → 7.8 として、CI 尺の「7.8」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(3)(2)までの操作で、A 尺とCI 尺の目盛りが\( \sqrt{4.5} : 1 / 78 \) に対応するようになりました。あとは個別に計算を行います。
位取りは概算で行いますが、少しややこしいので計算に気を付けましょう。

(x) \( \sqrt{7} : 1 / x \) の \( x \) を求める場合、A 尺の「7」にカーソル線を合わせます。カーソル線がCI 尺上に答の「6.26」を示します。

位取りは、\( \sqrt{4.5} \times 78 = \sqrt{7} \times x \) より \( x = \sqrt{\frac{4.5}{7}} \times 78 \) として概算を行います。 \( \sqrt{\frac{4.5}{7}} \times 78 → \sqrt{\frac{5}{10}} \times 80 \) \( = 80 \div sqrt{2} →  80 \ div 1.4 → 60\) なので、 \( x \) は60 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「6.26」だったので、\( x  = 62.6 \) です。

(y) \( \sqrt{y} : 1 / 320 \) の \( y \) を求める場合、CI 尺の「1.20」にカーソル線を合わせます。
円計算尺の場合、カーソル線がA 尺上に答の「1.905」を示します。
一般的な計算尺の場合、目外れを起こしてしまうのでCIF 尺の「1.20」にカーソル線を合わせます。カーソル線がA 尺上に答の「19.05」を示します。

位取りは、\( \sqrt{4.5} \times 78 = \sqrt{y} \times 120  \) より \(  \sqrt{y} = \frac{ \sqrt{4.5} \times \ 78 }{120} → y = \frac{ 4.5 \times \ 78^2 }{120^2}\) として概算を行います。 \( y = \frac{ 4.5 \times \ 78^2 }{120^2} → 5 \times ( \frac{80}{120})^2 \) \( = 5 \times ( \frac{2}{3})^2 → 5 \times \frac{4}{9} → 5 \times \frac{4}{10} = 2\) なので、\( y \) は \( 2 \) 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「1.905」または「19.05」だったので、\( y  = 1.905 \) です。

(z) \( \sqrt{15.4} : 1 / z \) の \( z \) を求める場合、A 尺の「15.4」にカーソル線を合わせます。カーソル線がCI 尺上に答の「4.214」を示します。

位取りは、\( \sqrt{4.5} \times 78 = \sqrt{15.4} \times z \) より \( z = \sqrt{\frac{4.5}{15.4}} \times 78 \) として概算を行います。 \( \sqrt{\frac{4.5}{15.4}} \times 78 → \sqrt{\frac{5}{15}} \times 80 \) \( = 80 \div \sqrt{3} →  80 \div 1.7 → 50\) なので、 \( z \) は50 前後の値になると予想されます。
計算尺の計算結果は「4.214」だったので、\( z  = 42.14 \) です。

(x)、 (y)、 (z) の計算結果をまとめると以下のとおりです。

\(\sqrt{a}\) \( 1 / b \)
\(\sqrt{4.5}\) \( 1 / 78 \)
\(\sqrt{7}\) \(1 / 62.6\)
\(\sqrt{1.905}\) \( 1 / 120\)
\(\sqrt{15.4}\) \( 1 / 42.14 \)

目外れが起きてしまったときは、(y) の例のようにCIF 尺とA 尺を読むことで計算可能な場合があります。
CIF 尺も目外れしてしまう場合は、CI 尺の基線の置き換え(CI 尺の基線「1」と「10」を置き換えるように内尺を動かす)で対応します。

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