二乗根(ルート)の計算 【計算尺の使い方11】


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「計算尺の使い方」まとめ

二乗根(ルート)の計算で使うA 尺の特徴

計算尺で二乗根(ルート)を計算するときは、D 尺とA 尺を使います。
そして計算で混乱しないためには、A 尺の特徴を知っておく必要があります。
「二乗の計算」の最初に紹介した内容と全く同じですが、もう一度確認しておきましょう。

A 尺の目盛りを見てみると、左端の目盛りは「1」、右端の目盛りは「100」(円計算尺では 1 周して「1」)となっています。そして中央に「10」の目盛りが振られています。
以下の図に示すように、A 尺は2 つの対数目盛を横に並べ、1 から 100 までの対数目盛りが振られています。
説明のため、A 尺の1 から 10 までの部分を \(A_1\) 尺、10 から 100 までの部分を \(A_2\) 尺と呼ぶことにします。

\(A_1\) 尺・ \(A_2\) 尺の使い分けと位取り

ここまで紹介してきた計算(掛け算・割り算・二乗)では、最初に計算のもとになる数をD 尺に置きました。しかし二乗根の計算では、計算のもとになる数、つまり\( \sqrt{N} \) の N にあたる数値を A 尺に置きます。
そこで困るのが、  \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10までの範囲)と \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100までの範囲)のどちらを使うべきか、ということです。
具体的には、\( \sqrt{36} \) を計算しようとしたとき、 \(A_1\) 尺上で「3.6」として計算を始めるのか、あるいは \(A_2\) 尺上で「36」として計算を始めるのか、判断しなければならないということです。

どちらの目盛りを使うべきか判断するには、まず小数点から右または左に数字を2 桁ずつ区切ります。そして0 でない一番左側にある区切りの有効数字が1 桁の場合 \(A_1\) 尺、有効数字が2 桁の場合 \(A_2\) 尺を使うようにします。

二乗根の位取りは、小数点から右と左に数字を2 桁ずつ区切ったときの区切りによって決めることができます。

以上の説明は、言葉だととてもわかりにくいと思います。
具体例をご覧いただいた方が理解しやすいと思うので、いくつか紹介します。

(1)\( \sqrt{6.64} \)

(2)\( \sqrt{4750} \)

(3)\( \sqrt{0.169} \)

(4)\( \sqrt{0.00089} \)

二乗根の計算の位取りについては、上のやり方を覚えてしまえば他の計算の位取りと比べてとても簡単かつ明瞭です。
また、上で紹介した二乗根の位取りは、この後の二乗・二乗根を含む掛け算・割り算でも使うことが多いので覚えておくと便利です。

※2021年3月18日追記
この他にも指数を使った位取りの方法もあります。
このページ最後のコメント欄で Jochen 様からご提案いただきました。
指数計算に慣れている方は、そちらの方法もご参照ください。

それでは実際に計算尺を使って計算してみましょう。

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計算例1 \( \sqrt{6.64} \)

(1)最初に  \(A_1\) 尺と \(A_2\) 尺のどちらを使うべきかを判断します。
上で紹介した方法によって、 \( \sqrt{6.64} \) を計算する場合は \(A_1\) 尺を使います。

(2) \(A_1\) 尺の「6.64」にカーソル線を合わせます。

(3)そのままD 尺を見ます。カーソル線がD 尺上に答の「2.577」を示します。

(4)位取りをします。
上で紹介した方法によって、計算結果の数字は 1 の位から始まることがわかります。よって、この計算の答は「2.577」です。

計算例2 \( \sqrt{4750} \)

(1)最初に  \(A_1\) 尺と \(A_2\) 尺のどちらを使うべきかを判断します。
上で紹介した方法によって、 \( \sqrt{4750} \) を計算する場合は \(A_2\) 尺を使います。

(2)4750 → 47.50 として、 \(A_2\) 尺の「47.50」にカーソル線を合わせます。

(3)そのままD 尺を見ます。カーソル線がD 尺上に答の「6.89」を示します。

(4)位取りをします。
上で紹介した方法によって、計算結果の数字は 10 の位から始まることがわかります。よって、この計算の答は「68.9」となります。

計算例3 \( \sqrt{0.169} \)

(1)最初に  \(A_1\) 尺と \(A_2\) 尺のどちらを使うべきかを判断します。
上で紹介した方法によって、 \( \sqrt{0.169} \) を計算する場合は \(A_2\) 尺を使います。

(2)0.169 → 16.9 として、 \(A_2\) 尺の「16.9」にカーソル線を合わせます。

(3)そのままD 尺を見ます。カーソル線がD 尺上に答の「4.11」を示します。

(4)位取りをします。
上で紹介した方法によって、計算結果の数字は 小数点以下第 1 位から始まることがわかります。よって、この計算の答は「0.411」となります。

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計算例4 \( \sqrt{0.00089} \)

(1)最初に  \(A_1\) 尺と \(A_2\) 尺のどちらを使うべきかを判断します。
上で紹介した方法によって、 \( \sqrt{0.00089} \) を計算する場合は \(A_1\) 尺を使います。

(2)0.00089 → 8.9 として、 \(A_1\) 尺の「8.9」にカーソル線を合わせます。

(3)そのままD 尺を見ます。カーソル線がD 尺上に答の「2.983」を示します。

(4)位取りをします。
上で紹介した方法によって、計算結果の数字は 小数点以下第 2 位から始まることがわかります。よって、この計算の答は「0.02983」となります。

2021年3月18日 更新

計算尺に関する記事一覧

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2 thoughts on “二乗根(ルート)の計算 【計算尺の使い方11】

  1. Jochen

    またまた五月蠅くて大変申し訳ありません。
    今回の2乗根の計算の位取りの事なのですがルート内をA掛ける10の±2n乗の形にして先ずAを計算尺で計算し、その答えに10の±nを掛ける思考の方が分かり易い気がしました。
    (但しAは1から100までの数、nは0以上の整数)
    多くの方はルート内の10の±2n乗を即座にルートの外に出せると思いましたので僭越ながら書かせて頂きました。

  2. Yoshi-G 投稿作成者

    Jochen 様

    当サイト管理人のよしじでございます。
    再びコメントの確認と返信が遅くなりまして、失礼いたしました。

    2乗根の位取りについてありがとうございました。
    Jochen様のおっしゃるとおり、指数の計算に慣れている方であればコメントいただいた方法の方が確かに計算が速くて楽かもしれませんね。
    もしJochen様がよろしければ、時間があるときに位取りの方法を追記させていただければと思います。

    私が紹介した位取りの方法は参考図書『わかりやすい計算尺の使い方』をもとにいたしました。
    (参考図書の詳細は「計算尺の使い方紹介の参考図書と、国会図書館のデジタル化資料送信サービスについて」に記載しています。)
    この本はおそらく中学・高校生を対象とした本で、そのため読者が指数計算になれていないことを考慮していたことに気づかされました。
    私のサイトでは指数を使った位取りの方法も紹介しておりますので、方法としてはどちらも紹介した方が役立ちそうですね。

    今後もお気づきの点がありましたら、お気軽にコメントいただけますと励みになります。
    どうぞよろしくお願いいたします。

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