計算の基本はこれまで紹介した方法と一緒
このページでは、二乗と二乗根を複数含む掛け算と割り算の計算方法を紹介します。
そのため、このページに直接ご訪問された方は、まずは「二乗を含む掛け算・割り算」、「二乗根を含む掛け算・割り算」をご覧になり、二乗と二乗根がひとつだけ計算に含まれる場合の計算方法をご確認ください。
また、複数の数字を掛けたり割ったりする計算の方法は「連続した掛け算・割り算の計算方法」で紹介しています。
連続計算の方法も多用しますので、併せてご確認ください。
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計算例1 分母と分子に二乗を含む場合
例として、 \( \Large \frac{12 \times 5.1^2}{0.24^2} \) の計算をしてみましょう。
この計算は \( \Large \frac{12 \times 5.1^2}{0.24^2} = ( \frac{ \sqrt{12} \times 5.1}{0.24} )^2 \) という形に式を変形してから計算することになります。
また、「連続した掛け算・割り算の計算方法」で紹介した要領で、 \( \sqrt{12} \div 0.24 \times 5.1 \) の順番に計算し、最後に答を二乗します。
(1)使う目盛りはD 尺、C 尺、A 尺の3 種類です。
(2)はじめに \( \sqrt{12} \) を計算します。「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で、 \( \sqrt{12} \) の計算では \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_2\) 尺の「12」にカーソル線を合わせます。
補足しますと、この時カーソル線はD 尺に\( \sqrt{12} \) の答を示しています。
(3)\( \div 0.24 \) として、C 尺の「2.4」とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(4)ここで、C 尺の基線「1」はD 尺に \( \sqrt{12} \div 0.24 \) の答を示しています。\( \sqrt{12} \div 0.24 \) の答とC 尺の基線「1」が合っているので、そのままC 尺を使って標線法で掛け算を続けます。内尺は動かしません。
(5) \( \times 5.1 \) としてのC 尺の「5.1」にカーソル線を合わせると、A 尺上に答の「54.1」が示されます。
補足しますと、このときカーソル線はD 尺上に\( \Large \frac{ \sqrt{12} \times 5.1}{0.24} \) の答を示しています。A 尺上の数値は \( \Large \frac{ \sqrt{12} \times 5.1}{0.24} \) の二乗となります。
(6)位取りをします。
12 → 10、5.1 → 5、0.24 → 0.3 として、 \( \Large \frac{10 \times 5^2}{0.3^2} = \frac{10 \times 25}{0.09} \) \( \Large → \frac{10 \times 25}{0.1} \) \( = 2500 \) となります。
計算尺の計算結果は「54.1」だったので、この計算の答は「5410」になります。
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計算例2 分母だけに二乗を含む場合
次の例として、 \( \Large \frac{8.8^2}{2 \times \pi} \) の計算をしてみましょう。
この計算は \( \Large \frac{8.8^2}{2 \times \pi} = ( \frac{8.8}{\sqrt{2} \times \sqrt{\pi}} )^2 \) という形に式を変形してから計算することになります。
・B 尺がある場合
(1)はじめに、D 尺、A 尺、B 尺の3 種類の目盛りを使って分母の \( \sqrt{2} \times \sqrt{\pi} \) を仮計算します。
(2)\( \sqrt{2} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「2」にカーソル線を合わせます。
(3)B 尺の基線「1」とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(4) \( \times \sqrt{\pi} \) の計算として、B 尺の「3.142」にカーソル線を合わせます。
\( \sqrt{3.142} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(B_1\) 尺(B 尺の1 から 10 までの範囲)を使うことがわかります。カーソル線は \( \sqrt{2} \times \sqrt{\pi} \) の答として「2.506」をD 尺に示します。
位取りをすると \( \sqrt{2} \times \sqrt{\pi} → \sqrt{2 \times 3} = \sqrt{6} \) なので、「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法でこの答は1 の位、つまり \( \sqrt{2} \times \sqrt{\pi} = 2.506\) とわかります。
(5)(4)までの計算結果を分母として、 \( \Large (\frac{8.8}{2.506})^2 \) を計算します。A 尺、D 尺、C 尺を使います。
(6)D 尺の「8.8」にカーソル線を合わせます。
(7) \( \div 2.506 \) として、C 尺の「2.506」とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(8)C 尺の基線「1」にカーソル線を合わせると、A 尺上に答の「12.33」が示されます。
(9)位取りをします。
8.8 → 10、\(2 \times \pi → 5 \) として、 \( \Large \frac{8.8^2}{2 \times \pi} → \frac{10^2}{5}\) \( = 20 \) となります。
計算尺の計算結果は「12.33」だったので、この計算の答は「12.33」になります。
・B 尺がない場合
「連続した掛け算・割り算の計算方法」で紹介した要領で、 \( 8.8 \div \sqrt{2} \div \sqrt{\pi} \) の順番に計算し、最後に答を二乗します。
\( \div \sqrt{2} \) と \( \div \sqrt{\pi} \) の計算はそれぞれ仮計算を行います。
(1)はじめに、内尺法の要領で \( 8.8 \div \sqrt{2} \) の計算を行います。使う目盛りはD 尺、C 尺、A 尺の3 種類です。
(2)\( \div \sqrt{2} \) を計算するための仮計算を行います。
\( \sqrt{2} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「2」にカーソル線を合わせます。
カーソル線がD 尺上に仮の答の「1.414」を示します。
(3) \( 8.8 \div \sqrt{2} \) の計算をします。D 尺「8.8」にカーソル線を合わせます。
(4)内尺法による割り算の操作なので、C 尺の「1.414」((2)で得た仮の答)とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(5)内尺はそのまま動かさず、 \( \div \sqrt{\pi} \) を計算するための仮計算をします。
\( \sqrt{\pi} = \sqrt{3.142} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「3.142」にカーソル線を合わせます。
カーソル線がD 尺上に仮の答の「1.771」を示します。
(6)標線法による割り算の要領で \( \div \sqrt{\pi} \) を計算するので、ここからCI 尺を使います。(4)までの操作でC 尺とCI 尺の基線は \( 8.8 \div \sqrt{2} \) の計算結果を示しています。そのため、CI 尺の「1.771」にカーソル線を合わせます。円形計算尺ではA 尺上に答の「12.33」を得ます。
一般的な計算尺では目外れしてしまいます。今回の例による計算では、CIF 尺も目外れしてしまいます。このようなときは、基線の入れ替えを行います。
カーソル線を一度C 尺の基線「1」に合わせます。そしてC 尺の反対側の基線「10」とカーソル線が一致するように内尺を動かします。これによってCI 尺の「1.771」が目外れしなくなります。CI 尺の「1.771」にカーソル線を合わせることで、D 尺上に答の「12.33」を得ます。
(7)位取りをします。
8.8 → 10、\(2 \times \pi → 5 \) として、 \( \Large \frac{8.8^2}{2 \times \pi} → \frac{10^2}{5}\) \( = 20 \) となります。
計算尺の計算結果は「12.33」だったので、この計算の答は「12.33」になります。
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計算例3 分母と分子に二乗根を含む場合
例として、 \( \Large \frac{ \sqrt{245}}{ \sqrt{87} \times 1.92} \) の計算をしてみましょう。
「連続した掛け算・割り算の計算方法」で紹介した要領で、 \( \sqrt{245} \div \sqrt{87} \div 1.92 \) の順番に計算します。
・B 尺がある場合
(1)はじめに \( \sqrt{245} \div \sqrt{87} \) を内尺法で計算します。
\( \sqrt{245} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「2.45」にカーソル線を合わせます。
(2) \( \sqrt{87} \) は、「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(B_2\) 尺(B 尺の10 から 100 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、B 尺の「87」とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(3)B 尺の基線「100」は \( \sqrt{245} \div \sqrt{87} \) の計算結果を示します。
ここで、一般的な計算尺の場合、この次の標線法による割り算を行うためにB 尺の基線「100」とCI 尺の基線「10」を入れ替える必要があります。B 尺の基線「100」にカーソル線を合わせて、CI 尺の基線「10」がカーソル線に一致するように内尺を動かします。
(4)標線法で \( \div 1.92 \) を計算します。CI 尺の「1.92」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「8.73」が出ます。
(5)位取りをします。
245 → 300、87 → 100、1.92 → 2 とすると、 \( \Large \frac{ \sqrt{245}}{ \sqrt{87} \times 1.92} → \frac{ \sqrt{300}}{ \sqrt{100} \times 2} \) \( → \sqrt{3} \div 2 → 1.73 \div 2 \) となることから、答は1 未満になります。
計算尺の計算結果は「8.73」だったので、この計算の答は「0.873」になります。
・B 尺がない場合
(1)はじめに \( \sqrt{245} \div \sqrt{87} \) を内尺法で計算します。そのために\( \sqrt{87} \) を仮計算します。
\( \sqrt{87} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_2\) 尺の「87」にカーソル線を合わせ、D 尺上に \( \sqrt{87} \) の答「9.32」を得ます。これをメモしておきます。
(2)\( \sqrt{245} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_1\) 尺(A 尺の1 から 10 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_1\) 尺の「2.45」にカーソル線を合わせます。
(3)C 尺の「9.32」((1)で得た数値 )とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(4)標線法で \( \div 1.92 \) を計算します。
円計算尺では、CI 尺の「1.92」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「8.73」が出ます。
一般的な計算尺では目外れしてしまうので、基線の入れ替えを行います。一度C 尺の右基線「10」にカーソル線を合わせて、C 尺の左基線「1」(CI 尺の左基線「10」)がカーソル線に合うように内尺を動かします。その後でCI 尺の「1.92」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「8.73」が出ます。
(5)位取りをします。
245 → 300、87 → 100、1.92 → 2 とすると、 \( \Large \frac{ \sqrt{245}}{ \sqrt{87} \times 1.92} → \frac{ \sqrt{300}}{ \sqrt{100} \times 2} \) \( → \sqrt{3} \div 2 → 1.73 \div 2 \) となることから、答は1 未満になります。
計算尺の計算結果は「8.73」だったので、この計算の答は「0.873」になります。
計算例4 二乗と二乗根の両方を含む場合1
\( \Large \frac{ \sqrt{33} \times 4.5^2}{5.67} \) のように、二乗と二乗根が両方含まれる場合の計算を考えます。
実はこのような場合、二乗を普通の掛け算の形にします。つまり、 \( \Large \frac{ \sqrt{33} \times 4.5^2}{5.67} = \frac{ \sqrt{33} \times 4.5 \times 4.5}{5.67} \) のように変形します。そして「連続した掛け算・割り算の計算方法」で紹介したように、 \( \sqrt{33} \div 5.67 \times 4.5 \times 4.5 \) の順番に計算します。
(1)はじめに \( \sqrt{33} \div 5.67 \) を内尺法で計算します。
\( \sqrt{33} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_2\) 尺の「33」にカーソル線を合わせます。
(2)カーソル線とC 尺の「5.67」が合うように内尺を動かします。
(3)C 尺の基線は \( \sqrt{33} \div 5.67 \) の答を示しているので、このまま標線法による掛け算を続けます。\( \times 4.5 \) の計算として、C 尺の「4.5」にカーソル線を動かします。
(4)もう一度 \( \times 4.5 \) をします。内尺法の掛け算の要領で、CI 尺の「4.5」とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(5)CI 尺の基線「10」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「2.05」が出ます。
(6)位取りをします。
\( \sqrt{33} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した位取りの方法で1 の位の数であるとわかります。
また、4.5 → 5、5.67 → 5 とすると、 \( \Large \frac{4.5^2}{5.67} \) \( → \frac{5^2}{5} =5 \) となります。これを1 の位の数 \( \sqrt{33} \) と掛けてるので、計算の答は 5 から 50 の間になると予想できます。
計算尺の計算結果は「2.05」だったので、この計算の答は「20.5」になります。
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計算例5 二乗と二乗根の両方を含む場合2
このページ最後の例として、 \( \Large \frac{23 \times \sqrt{80.5}}{3.95^2} \) の計算をしてみましょう。
この場合も、二乗を普通の掛け算の形にします。つまり、 \( \Large \frac{23 \times \sqrt{80.5}}{3.95^2} = \frac{ 23 \times \sqrt{80.5}}{3.95 \times 3.95} \) のように変形します。また、二乗根を最初に計算したいので、23 と \( \sqrt{80.5} \) を入れ替えて\( \frac{ \sqrt{80.5} \times 23 }{3.95 \times 3.95} \) を計算するようにします。
そして「連続した掛け算・割り算の計算方法」で紹介したように、 \( \sqrt{80.5} \div 3.95 \times 23 \div 3.95 \) の順番に計算します。
(1)はじめに \( \sqrt{80.5} \div 3.95 \) を内尺法で計算します。
\( \sqrt{80.5} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した方法で \(A_2\) 尺(A 尺の10 から 100 までの範囲)を使うことがわかります。そのため、 \(A_2\) 尺の「80.5」にカーソル線を合わせます。
(2)カーソル線とC 尺の「3.95」が合うように内尺を動かします。
(3)C 尺の基線は \( \sqrt{80.5} \div 3.95 \) の答を示しているので、このまま標線法による掛け算を続けます。\( \times 23 \) の計算として、C 尺の「2.3」にカーソル線を動かします。
(4)もう一度 \( \div 3.95 \) をします。内尺法の割り算の要領で、C 尺の「3.95」とカーソル線が合うように内尺を動かします。
(5)C 尺の基線「1」にカーソル線を合わせると、D 尺上に答の「1.322」が出ます。
(6)位取りをします。
\( \sqrt{80.5} \) は「二乗根(ルート)の計算」 で紹介した位取りの方法で1 の位の数であるとわかります。
また、23 → 20、3.95 → 4 とすると、 \( \Large \frac{20}{3.95^2} \) \( → \frac{20}{4^2} = \frac{5}{4} = 1.25 \) となります。これを1 の位の数 \( \sqrt{80.5} \) と掛けてるので、計算の答は 1.25 から 12.5 の間になると予想されます。
計算尺の計算結果は「1.322」だったので、この場合答が「1.322」になりそうだと思いますが、おおざっぱな計算だと「13.22」になる可能性もあります。
このように概算による位取りで迷うときは、概算の精度を少し上げてみます。
ここでは \( \sqrt{80.5} \) について考えてみます。\( \sqrt{80.5} \) は1 の位の数には違いありませんが、ここで\( 9 \times 9 = 81 \) であることを思い出すと、\( \sqrt{80.5} \) は1 の位の数でも9 に近いことがわかります。そのため、\( 9 \times 1.25 \) を考えて、この計算の答は10 よりも大きくなると予想します。
以上のように概算の精度を上げてみることで、この計算の答が「13.22」となることがわかります。
計算尺に関する記事一覧
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