三角関数の逆数の計算 【計算尺の使い方27】

slide rule/計算尺


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「計算尺の使い方」まとめ

三角関数の逆数について

ここでは三角関数の逆数、つまり \( \large \frac{1}{\sin \theta} \)、 \( \large \frac{1}{\cos \theta} \)、 \( \large \frac{1}{\tan \theta} \) の計算方法を紹介します。
古い書籍ですと、 \( \large \frac{1}{\sin \theta} \) は cosec \(\theta\) または \(\csc \theta \) 、\( \large \frac{1}{\cos \theta} \) は \(\sec \theta \) 、\( \large \frac{1}{\tan \theta} \) は \(\cot \theta \) と書かれていたりするものもあります。

計算操作自体は \(1 \div \sin \theta \) というように、三角関数で1 を割って計算します。

角度が \(6^\circ \) 以上の sin と tan の逆数

\(6^\circ\) 以上の sin と tan の逆数と書いていますが、「cos の計算(0°~84°)」で書いていますように \( \cos \theta\) は \( \sin (90^\circ – \theta ) \) で計算しますので、角度が\(84^\circ\) 未満の cos の逆数も同じ方法で計算します。つまり、\( \large \frac{1}{\cos \theta} = \frac{1}{\sin (90^\circ – \theta)} \) として計算します。

以下では sin と tan の逆数のみ計算例として紹介しますが、cos についても sin の逆数として計算できます。

計算例1 \( \large \frac{1}{\sin 8^\circ 35′} \) 

(1)はじめにD 尺の基線にカーソル線を合わせます。
左右どちらの基線にカーソル線を合わせても計算できますが、下の画像では次の(2)で内尺を動かす長さが短くなる左基線「1」にカーソル線を合わせています。

(2)カーソル線とS 尺の「\(8^\circ 35’\)」が合うように内尺を動かします。

(3)S 尺の基線にカーソル線を合わせると、D 尺に答の「6.70」が出ます。

(4)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法により、\(\sin 8^\circ 35’\) は0.1 の位であることがわかります。そのため、この計算は \( \large \frac{1}{0.■■} \) となることから、 答えが1 の位であることがわかります。(3)より、この計算の答は「6.70」です。

なお、SI 尺がある計算尺では、次の画像のようにD 尺とSI 尺の基線が合った状態で、SI 尺の\(\sin 8^\circ 35’\) にカーソル線を合わせるだけでD 尺に答がでます。

計算例2 \( \large \frac{1}{\tan 61^\circ 58′} \) 

(1)はじめにD 尺の基線にカーソル線を合わせます。
左右どちらの基線にカーソル線を合わせても計算できますが、下の画像では次の(2)で内尺を動かす長さが短くなる左基線「1」にカーソル線を合わせています。

(2)角度が \(61^\circ 58’\) なので、T2 尺を使います。
カーソル線とT2 尺の「\(61^\circ 58’\)」が合うように内尺を動かします。

(3)T2 尺の基線にカーソル線を合わせると、D 尺に答の「5.325」が出ます。

(4)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法により、\(\tan 61^\circ 58’\) は1 の位であることがわかります。そのため、この計算は \( \large \frac{1}{■.■} \) となることから、 答えが0.1 の位であることがわかります。(3)より、この計算の答は「0.5325」です。

なお、TI2 尺がある計算尺では、次の画像のようにD 尺とTI2 尺の基線が合った状態で、TI2 尺の\(\sin 61^\circ 58’\) にカーソル線を合わせるだけでD 尺に答がでます。

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角度が \(6^\circ \) 未満の sin と tan の逆数

「角度が6°以下の sin と tan の計算」で紹介したように、この場合はST 尺を使う方法と、ゲージマークを使う方法の、2種類の計算方法があります。

計算例3 \( \large \frac{1}{\sin 2^\circ 07′} \) 

ここではST 尺を使う方法をご紹介します。

(1)(1)はじめにD 尺の基線にカーソル線を合わせます。
左右どちらの基線にカーソル線を合わせても計算できますが、下の画像では次の(2)で内尺を動かす長さが短くなる右基線「10」にカーソル線を合わせます。

(2)カーソル線とST 尺の「\(2^\circ 07’\)」が合うように内尺を動かします。

(3)ST 尺の基線にカーソル線を合わせると、D 尺に答の「2.704」が出ます。

(4)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法により、\(\sin 2^\circ 07’\) は0.01 の位であることがわかります。そのため、この計算は \( \large \frac{1}{0.0■■} \) となることから、 答えが10 の位であることがわかります。(3)より、この計算の答は「27.04」です。

計算例4 \( \large \frac{1}{\sin 1^\circ 17.4′} \) 

角度のゲージマークを使う場合は、次のような考え方で計算します。
例えば「度」のゲージマーク \( \rho^\circ \) (1ラジアン \( \approx 57.296^\circ \) の印)を使う場合、

\( \large \frac{1}{\sin \theta} =  \frac{1}{\theta^\circ \times \frac{1}{57.296}} = \frac{57.296}{\theta^\circ} \)

という関係式に基づき計算を行います。
C 尺とD 尺のどちらにゲージマークが振られていても、以下の操作は同じです。

(1)ここでは「分」のゲージマーク \( \rho ‘ \) を使って計算します。
まず \( 1^\circ 17.4′ \) をすべて「分」単位に直します。
暗算で、 \( 1^\circ 17.4′  = (60 \times 1 + 17.4)’ = 77.4′ \) と計算できます。

(2)C 尺とD 尺の基線が合っているのを確認して、 \( \rho ‘ \) にカーソル線を合わせます。
C 尺とD 尺のどちらに \( \rho ‘ \) があっても大丈夫です。

(3)\( 77.4′ \) として、C 尺の「7.74」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(4)D 尺の右基線「10」にカーソル線を合わせると、C 尺上に答として「4.443」を得ます。

(5)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法により、\(\sin 1^\circ 17.4’\) は0.01 の位であることがわかります。そのため、この計算は \( \large \frac{1}{0.0■■} \) となることから、 答えが10 の位であることがわかります。(4)より、この計算の答は「44.43」です。

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角度84° 以上の tan の計算方法

\( \large \frac{1}{\tan \theta} \) が計算できると、角度\(84^\circ\) 以上\(90^\circ\) 未満の tan の計算ができるようになります。この場合、
\( \tan \theta = \)\( \large \frac{1}{\tan(90^\circ – \theta)}\)
の公式を使って計算します。

計算例5 \( \tan 88^\circ 15′ \) 

(1)まずは上の公式にあてはめます。
\( \tan 88^\circ 15′ = \)\( \large \frac{1}{\tan(90^\circ – 88^\circ 15′)} =\) \( \large \frac{1}{\tan 1^\circ 45′} \) となることから、\( \large \frac{1}{\tan 1^\circ 45′} \) を計算します。

(2)ST 尺を使っても計算できますが、この例では「分」のゲージマーク \( \rho ‘ \) を使って計算します。
まず \( 1^\circ 45′ \) をすべて「分」単位に直します。暗算で、 \( 1^\circ 45′  = (60 \times 1 + 45)’ = 105′ \) と計算できます。

(3)C 尺とD 尺の基線が合っているのを確認して、 \( \rho ‘ \) にカーソル線を合わせます。
C 尺とD 尺のどちらに \( \rho ‘ \) があっても大丈夫です。

(3)\( 105′ \) として、C 尺の「1.05」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(4)D 尺の基線「10」にカーソル線を合わせると、C 尺上に答として「3.275」を得ます。

(5)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法により、\(\tan 84^\circ\) から \(\tan 89^\circ\) までは10 の位であることがわかります。したがって、この計算の答は「32.75」です。

\(\tan 89^\circ\) 以上ですと、答の位取りが100 の位なのか 1000 の位なのか、それともさらに大きな値なのか判断するのが少し難しくなります。
この場合も「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」の「角度\(6^\circ\) 未満の三角関数 sin と tan の位取りについて」によって概算を行い、この概算値で1 を割ることで位取りの判断をします。

計算例6 \( \tan 89^\circ 59′ 24” \) 

(1)まずは公式にあてはめます。
\( \tan 89^\circ 59′ 24” = \)\( \large \frac{1}{\tan(90^\circ – 89^\circ 59′ 24”)} =\) \( \large \frac{1}{\tan 0^\circ 00′ 36”} \) となることから、\( \large \frac{1}{\tan 0^\circ 00′ 36”} \) を計算します。

(2)角度が 40′ よりも小さくなるとST 尺は使えません。そのため「秒」のゲージマーク \( \rho ” \) を使って計算します。
C 尺とD 尺の基線が合っているのを確認して、 \( \rho ” \) にカーソル線を合わせます。C 尺とD 尺のどちらに \( \rho ” \) があっても大丈夫です。

(3)\( 36” \) として、C 尺の「3.6」とカーソル線が合うように内尺を動かします。

(4)D 尺の右基線「10」にカーソル線を合わせると、C 尺上に答として「5.73」を得ます。

(5)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法のうち、\( \theta ” \approx 0.000005 \times \theta \) の概算を使います。
\( 36” \approx 0.000005 \times 36 \)\( → 0.000005 \times 40 = 0.0002\) となります。\( \large \frac{1}{0.0002} = \frac{10000}{2}\) \(= 5000\) となることから、この計算の結果は 5 000 前後であるとわかります。したがって、この計算の答は「5730」です。

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T2 尺がない計算尺での 45° 以上の tan の計算方法

小学校3、4年生くらいで一度はそろばんの使い方を授業で教わるように、1970年頃までは中学校で計算尺の使い方の授業があったそうです。中学生向けの計算尺は、簡易的にT2 尺がない、つまりT1 尺(角度\(6^\circ\) から\(45^\circ\))しかない計算尺もあったそうです(「T1 尺」が「T 尺」とされています)。
このような場合も、\( \tan \theta = \)\( \large \frac{1}{\tan(90^\circ – \theta)}\) の公式を使うことで、T1 尺(T 尺)で計算を行います。

計算例7 \( \tan 71^\circ 30′ \)

(1)まずは公式にあてはめます。
\( \tan 71^\circ 30′ = \)\( \large \frac{1}{\tan(90^\circ – 71^\circ 30′)} =\) \( \large \frac{1}{\tan 18^\circ 30′} \) となることから、\( \large \frac{1}{\tan 18^\circ 30′} \) を計算します。

(2)D 尺の基線にカーソル線を合わせます。
左右どちらの基線にカーソル線を合わせても計算できますが、下の画像では次の(3)で内尺を動かす長さが短くなる右基線「10」にカーソル線を合わせています。

(3)カーソル線とT 尺の「\(18^\circ 30’\)」が合うように内尺を動かします。

(4)T 尺の基線にカーソル線を合わせると、D 尺に答の「2.99」が出ます。

(5)位取りをします。
「計算尺での三角関数計算に関する予備知識」に書いた位取りの方法により、\(\tan 45^\circ\) から \(\tan 84^\circ\) までは1 の位であることがわかります。したがって、この計算の答は「2.99」です。

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