2つの数の計算結果の逆数
ある数 n の逆数、つまり\( \frac{1}{n} \) は \(1 \div n \) を内尺法または標線法で計算することで求めることができます。
ここでは、2つの数の計算結果の逆数を直接求める方法を紹介します。
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計算例1 \(2.4 \times 3.6\) の逆数
\(2.4 \times 3.6\) の逆数、つまり \( \large \frac{1}{2.4 \times 3.6} \) を計算します。
(1)まずは内尺法による掛け算の要領で計算尺を操作します。D 尺の「2.4」にカーソル線を合わせます。
(2)カーソル線とCI 尺の「3.6」が合うように内尺を動かします。
(3)\(2.4 \times 3.6\) を計算するときは、CI 尺の基線にカーソル線を合わせてD 尺上に計算結果が出ました。
逆数の場合、D 尺の基線「1」にカーソル線を合わせることで、C 尺上に逆数の計算結果「1.157」が得られます。
(4)位取りをします。
概算で \(2.4 \times 3.6 → 2 \times 4 = 8 \) なので、 \( \large \frac{1}{2.4 \times 3.6} → \frac{1}{8} \)\(→ 0.1 \cdot\cdot\cdot \) となります。計算尺による数値の計算結果は「1.157」だったので、この計算の結果は「0.1157」となります。
計算例2 \(7.2 \div 33\) の逆数
\(7.2 \div 33\) の逆数、つまり \( \large \frac{1}{7.2 \div 33} \) を計算します。
(1)まずは内尺法による割り算の要領で計算尺を操作します。D 尺の「7.2」にカーソル線を合わせます。
(2)\(33 → 3.3 \times 10\) として、カーソル線とC 尺の「3.3」が合うように内尺を動かします。
(3)\(7.2 \div 33\) を計算するときは、C 尺の基線にカーソル線を合わせてD 尺上に計算結果が出ました。
逆数の場合、D 尺の基線「10」にカーソル線を合わせることで、C 尺上に逆数の計算結果「4.583」が得られます。
(4)位取りをします。
\( \large \frac{1}{7.2 \div 33} = \frac{33}{7.2} → \frac{35}{7} \)\(= 5\) となります。計算尺による数値の計算結果は「4.583」だったので、この計算の結果は「4.583」となります。
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計算原理について
なぜD 尺の基線にカーソル線を合わせることで、C 尺上に逆数が得られるのか?
これは、内尺法による掛け算・割り算の計算と、C尺・D尺を用いた比例計算の組み合わせによるものです。
内尺法による2つの数の計算結果は、C 尺またはCI 尺の基線がD 尺上に示す数値となります。このとき、D 尺上に示される2つの数の計算結果の答と、C 尺の基線とが一致していることから、D 尺の目盛りを分母の数値、C 尺の目盛りを分子の数値としてC 尺とD 尺の目盛りが比例関係にあります。
そのため、分母の数値(D 尺上の目盛り)が1 になるときの分子の数値(C 尺上の目盛り)を逆数の計算結果として得ることができます。つまりD 尺の基線にカーソル線を合わせることでC 尺上に計算結果の逆数が得られます。
答が出るのは掛け算の場合も割り算の場合も必ず「C 尺」なので気を付けましょう。
「三乗を含む掛け算・割り算」の計算例3や「三乗根を含む掛け算・割り算」の計算例3のように、式を逆数にして計算する工夫が必要になる場合がありますので解説しました。
計算尺に関する記事一覧
当サイトで紹介している計算尺の使い方に関する記事一覧は、カテゴリーの「計算尺 / Slide rule」のほか「計算尺の使い方」まとめページでご覧いただけます。