LL尺が無い場合の aの b分の1乗の計算【計算尺の使い方41】


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「計算尺の使い方」まとめ

b分の1乗の計算も基本的な計算方法は同じ

「LL尺が無い場合の aの b乗の計算」ではLL尺がない場合の a の b乗の計算方法を紹介しました。
a の b分の1乗でも計算の流れは同じです。

はじめに下式の対数の性質を使って a の b分の1 乗の常用対数を求めます。
$$ \log_{10}{a^{1/b}} = \frac{1}{b} \times \log_{10}a = \log_{10}a \div b $$

実際の計算の流れとしては、
① \( \log_{10}a \) を計算尺で求める。
② ①の結果を b で割る。
常用対数の計算は「常用対数 log_10 の計算」も参照してください。

その後
③ 10の \( \log_{10}{a^{1/b}} \) 乗を計算して答を得ます。
10の指数は「常用対数の真数を求める計算(10 の指数計算)」で計算します。

a の b乗の場合との違いは、上の手順の ② のところで ① の計算結果を bで割るところです。
そのため、CI尺の代わりに C尺を使って計算します。(内尺法で割り算をします。)

この方法も LL尺を使わない aのb乗の計算と同様、以下を念頭に置きましょう。

(1)LL尺を使った場合と比べて誤差が大きくなる。
(2)指数の値(b の数値)が1に近く、指数を計算する元の数(a の数値)が100を超えないときに有効な方法である。

計算例1 5.7の 1/2.6乗

はじめに \(5.7^{1/2.6}\) の常用対数を \( \log_{10}{5.7^{1/2.6}} = \log_{10}5.7 \div 2.6 \) と変形して計算します。
次に10の \( \log_{10}{5.7^{1/2.6}} \) 乗を計算すると答が得られます。

(1)まず \( \log_{10}5.7 \div 2.6 \) の計算をするために \( \log_{10}5.7 \) を計算します。
D尺(円計算尺では C尺)の「5.7」にカーソル線を合わせて、そのまま L尺を見ると答として「0.756」が求められます。

(2)(1)で得た答を 2.6で割ります。
0.756 としてD尺の「7.56」にカーソル線を合わせ(図の①)、C尺の「2.6」とカーソル線が合うように内尺を動かします(図の②)。

(3)C尺の左基線「1」にカーソル線を合わせると、D尺上に「2.91」が出ます。
概算で位取りをすると、\(0.756 \div 2.6 \rightarrow 1 \div 3 \)\( = 0.33 \cdots \) なので、\( \log_{10}{5.7^{1/2.6}} \) は「0.291」だとわかります。

(4)10の 0.291乗を計算します。
計算したい数を整数部分と0 以上1 未満の小数部分に分けます。
0.291 の場合、計算尺ではそのまま 0.291 の部分を計算すればよいです。
L尺の「0.291」にカーソル線を合わせてそのまま D尺(円計算尺では C尺)の目盛りを読むと最終的な答である「1.953」が得られます。

※この計算の実際の答は\(1.9543\cdots\) です。

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計算例2 44.2の 1/0.83乗

はじめに \(44.2^{1/0.83}\) の常用対数を \( \log_{10}{44.2^{1/0.83}} = \log_{10}44.2 \div 0.83 \) と変形して計算します。
次に10の \( \log_{10}{44.2^{1/0.83}} \) 乗を計算して答を得ます。

(1)はじめに \( \log_{10}44.2 \div 0.83 \) の計算をするために \( \log_{10}44.2 \) を計算します。
44.2 としてD尺(円計算尺では C尺)の「4.42」にカーソル線を合わせて、そのまま L尺を見ると\( \log_{10}44.2 \) の答の小数点部分「0.6455」を得ます。
\( \log_{10}{44.2} = \log_{10}{10 \times 4.42} \)\( = 1 + \log_{10}{4.42} \) なので、\( \log_{10}44.2 \) は 1.6455 だとわかります。

(2)(1)で得た答を 0.83で割ります。
D尺の「1.6455」にカーソル線を合わせ(図の①)、0.83として C尺の「8.3」とカーソル線が合うように内尺を動かします(図の②)。

(3)C尺の右基線「10」にカーソル線を合わせると、D尺上に「1.982」が示されます。
概算で位取りをすると、\(1.6455 \div 0.83 \rightarrow 2 \div 1 \)\( = 2 \) なので、\( \log_{10}{44.2^{1/0.83}} \) は「1.982」だとわかります。

(4)10の 1.982乗を計算します。
計算したい数を整数部分と0 以上1 未満の小数部分に分けます。
1.982 の場合、\( 1.982 = 1 + 0.982 \) となるので、計算尺では 0.982 の部分を計算します。
L尺の「0.982」にカーソル線を合わせてそのまま D尺(円計算尺では C尺)の目盛りを読むと「9.595」を得ます。

(5)位取りをします。
(4)より \(10^{0.982}=9.595\) だとわかりました。よって、
\(10^{1.982} = 10^{1+0.982}\)\(= 10^{1}\times 10^{0.982}\)\(= 10 \times 9.595 = 95.95\) です。
よって、最終的な計算結果は「95.95」となります。

※この計算の実際の答は\(96.036\cdots\) です。

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